Snon Labo

クリエイティブな音楽とイラストを探求し創造

天空門の彼方へ ―― 忘れられた巨岩神殿と二人の旅人

序章 世界の果てに眠る門

世界には、どれほど古い地図にも描かれていない場所がある。

そこは、人々が「空の境界」と呼ぶ山脈の最奥。

幾千年という歳月を経てなお崩れぬ巨大な岩壁。

雲を突き抜けるほど高くそびえ立つ断崖。

そして、その岩壁の中心には、まるで世界そのものを貫いているかのような巨大な穴が開いていた。

自然が造ったものではない。

誰かが、ある目的のために切り開いた門。

その入口には古代文字が刻まれた石造りの神殿があり、蔦や苔に覆われながらも静かな威厳を失ってはいなかった。

風が吹くたび、小さな白い花びらのような光が舞い上がる。

近づく者は誰もいない。

近づこうとした者も帰っては来なかった。

だから人々は、この場所をこう呼んだ。

「天空門(てんくうもん)の遺跡」

そこは伝説だけが生き続ける場所だった。

続きを読む

いつかの約束

youtu.be

師匠へ

お元気ですか?――なんて聞くのは愚問ですね。
あの人が弱る姿なんて、正直想像できません。

私は今、森の奥で修行を続けています。
こちらでは「森の守り手」と呼ばれる方に稽古をつけてもらっています。
師匠の教えとはまた違う型や呼吸で、最初は戸惑いましたが……少しずつ、自分の中で繋がってきた気がします。
まだまだ未熟ですが、ようやく「戦う理由」を見失わずにいられるようになってきました。

風の宿は変わりありませんか。
リュナは元気に働いていますか?
無理をしていないといいのですが。
あやびは……ちゃんと笑っていますか?
あの子の笑顔は、あの場所の灯りみたいなものだから。

私はまだ、師匠の背中には遠く及びません。
けれど、あの日送り出してくれた意味を、少しずつ理解し始めています。
だからもう少しだけ、帰るのは先になりそうです。

それでも――いつか必ず、胸を張って「ただいま」と言えるように。

黒い霧のこと、こちらでも噂を耳にしました。
ギルドの調査で、少しずつ正体が見えてきているみたいです。
嫌な気配です。師匠も、どうか気をつけてください。

追伸。
母さんへ。

父さんを見た、という旅人が風の宿に泊まったことがあると聞きました。
手がかりが本当に小さなものでも、私は行ってみます。

――だから、少しだけ待っていてください。
必ず確かめてきます。

 

snonlabo.hatenablog.com

snonlabo.hatenablog.com

snonlabo.hatenablog.com

 

白狼の頂に誓う蒼き尾 ―― 空へ還る守護の巫女

世界の果てには、誰も地図に記せない山がある。

その山はあまりにも高く、雲は山腹を漂う霧に過ぎず、鳥さえも頂へ辿り着くことはない。

人々はその場所を、「天狼峰(てんろうほう)」と呼んでいた。

古い伝承にはこう記されている。

「世界が闇へ傾くとき、白き狼は再び目を覚まし、
蒼き尾を持つ娘とともに、空と大地を繋ぐだろう。」

その物語を本気で信じる者は、今ではほとんどいなかった。

けれど──。

伝承は静かに、本当の始まりを待っていたのである。

 

 

第一章 雲より高い約束

夜明け前。

世界はまだ青い眠りの中にあった。

巨大な岩柱の上で、一人の少女が静かに白狼の身体へ手を添えていた。

少女の名はセレスティア。

銀色の長い髪。

狐の耳。

ふわりと揺れる白銀の尾。

そして澄み切った蒼い瞳。

彼女は人でも獣人でもない。

かつて天空を護っていた一族――

星守(ほしまもり)の巫女の最後の末裔だった。

隣に立つ白狼は山よりも巨大だった。

雪のように白い毛並み。

湖より深い蒼い瞳。

その名は、

フェンリス。

神話の時代から世界を見守り続ける守護獣である。

「今日も世界は静かですね。」

セレスティアが微笑む。

フェンリスは静かに鼻を鳴らした。

その息だけで雲が揺れ、朝焼けが黄金色に染まる。

二人は毎朝こうして世界を見渡していた。

森。

川。

村。

城。

誰も気付かない場所から、

誰にも知られず、

世界を守るために。

続きを読む

星灯りの王都と、二つの翼の約束

序章 ――夜空に浮かぶ城

世界の果てに、「空へ消えた王国」の伝説があった。

その国の名は――アステリア王国。

昼には白い雲に隠れ、夜になるとだけ姿を現すという不思議な国。

蒼い夜空に浮かぶ無数の塔。
金色に輝く窓。
そして星々の間に浮かぶ、巨大な空中城。

そこには人間とエルフ、妖精、そして翼を持つ者たちが共に暮らしていた。

しかし、今ではその場所を知る者はほとんどいない。

王国は千年前、ある夜を境に突然消えてしまったのだ。

残されたのは、ただ一つの言い伝えだけだった。

「二つの翼を持つ子らが再び出会う時、
失われた王国は目を覚ます。」

第一章 ――青衣のエルフ少女

雪の降る北の村。

そこに、小さなエルフの少女が住んでいた。

名前は――ルミア。

淡い金色の髪。
長い耳。
澄んだ琥珀色の瞳。

彼女は幼いころから空を見るのが好きだった。

夜になると丘へ登り、星を見上げては考えていた。

「私、どうしてこの村にいるんだろう……」

村の人々は優しかった。

けれど、誰もルミアの本当の家族を知らなかった。

赤ん坊の彼女はある雪の日、村の門の前に置かれていたのだ。

その時、彼女の首には一つのペンダントが掛けられていた。

星の紋章。

それだけが、彼女の過去を示す唯一のものだった。

第二章 ――炎色の旅人

ある夜。

ルミアが丘の上で星を見ていると、一筋の流れ星が落ちていった。

それは森の奥へ消えた。

「……見に行こう。」

胸が不思議と高鳴った。

雪道を歩き、森の奥へ進む。

そして、彼女は見つけた。

大きな木の下で倒れている、一人の少年を。

少年は茶色の髪をしていた。

肩には白い羽が生えている。

まるで鳥の翼のようだった。

「大丈夫!?」

ルミアが駆け寄る。

少年はゆっくり目を開けた。

緑色の瞳。

その瞳を見た瞬間――

ルミアの胸元のペンダントが光った。

少年の首に掛けられた銀の首飾りも、同じように輝き始める。

「……君は……?」

少年が小さく呟く。

「僕の名前は……アルト。」

そして彼は驚いたように目を見開いた。

「どうして……君がその紋章を……?」

続きを読む

白狐の灯り~フルバージョン

「白狐の灯り~灯して走れ」

www.nicovideo.jp


架空アニソン祭2026投稿作品のフルバージョン

Vocal: 夢ノ結唱POPY
Chorus: 宮舞モカ
Words and Music by: Snon

 

www.nicovideo.jp

 

www.youtube.com

 

 

snonlabo.hatenablog.com

snonlabo.hatenablog.com

snonlabo.hatenablog.com

 

紅蓮の門と、終焉を越える少女

夕暮れは、世界がもっとも静かに泣く時間だと、少女は知っていた。

空は赤く染まり、崩れかけた石柱の影が長く大地へ伸びる。
風は遠い昔の祈りを運び、砕けた神殿の隙間を通り抜けながら、誰にも届かない歌を奏でていた。

少女の名は――ルミア。

燃えるような赤髪を揺らしながら、彼女は古代遺跡の中央に立っていた。
小さな身体には不釣り合いなほど重厚な外套。
胸元には、古い紋章の刻まれた銀のペンダント。

それは、滅びた王国《エルディア》の証だった。

かつてこの地には、空に届くほど巨大な白亜の塔が存在したという。
竜と人が共に暮らし、精霊たちが歌い、夜空には永遠の光が灯っていた。

 

続きを読む

硝子階段を昇るエルフ

世界の果てには、“光を忘れた都”があると言われていた。

その都には空がなかった。

朝も昼も夜も曖昧で、灰色の霧が街を覆い、人々は静かに俯いて生きていた。

笑う者はいない。

歌う者もいない。

ただ時計だけが、終わりへ向かうように時を刻んでいた。

その街の名は――
“ルクス=グラディア”。

千年前、栄華を極めた魔法都市だった。

しかし今では、崩れかけた石造りの塔と、光を失った水路だけが残されている。

人々は知らなかった。

なぜ世界から色が消えたのか。

なぜ空が閉ざされたのか。

なぜ、この街だけ時間が止まったように静かなのか。

その答えを知る者は、もう誰も残っていなかった。

ただ一人を除いて。

 

続きを読む